【10】小さな絆

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先生は腰を下ろすと、れおくんのリュックサックを肩からおろし、そっと彼の頬に手をあてた。 「まだ眠そうな顔してるねぇ、起きたばかりだったのかな」 ちょっと中身を確認するねと言いながら、リュックサックの中の荷物を確認し始めた。 「まぁ、ちゃーんと揃ってる。お着替えもタオルも全部入ってるね。」 「えらいねぇ、おねえちゃん。」 …びっくりした。 保育園の準備もお姉ちゃんがやってるんだ…。 先生が、最初に全部揃ってるって言ったとき、私は頭の中で、準備はいちおうお母さんがしてるんだな~なんて思っていたから。 だからその後に続いた言葉は、予想以上に私の心にズンとなにか暗いものを落とした。 先生は中身を確認し終わると、またゆっくりれおくんのほうへ向き直り、その小さな手を優しく両手でつかみ、そして優しく声をかけた。 「朝ご飯は食べたきた?」 れおくんは、やっぱり言葉は出さずにただ顔を横に振った。 「そっか、食べてないんだね。」 先生は、もう一人の早番で来ていた先生へ向かって、パンくらいあればいいのにねと言っていた。 その後、その場を離れたかと思うとまたすぐ戻ってきたのだが、その手には一枚の食パン。 給食室から持ってきたのだろう。 れおくんに、椅子に座って食べるよう促していた。 言われるがままに、椅子に座ると小さな口でパンを含んだ。 …あー、やば… なんか苦しい… …胸が痛い。 表現のしようがない感覚に襲われて、なんか心が闇の中に引きずり込まれていきそうになった。 そんなとき、2号の声で我に返った。
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