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「ママー、きょうはしーるどこにはるのー?」
振り返ると、2号が屈託のない笑顔でこちらを見ていた。
その顔を見て、さっきまで固まりかけいていた脳と体にすーっと温度が戻ってきた。
「今日はね、ここだよ。好きなシールをひとつだけ選んでね。」
2号のうしろに立って、手を握り一緒にシールを貼る。
いつもはそれで終わるが、今日はなんとなくその後に頭を撫でた。
事を済ませ、先生に一言よろしくお願いしますと声をかけ私は駐車場へと戻った。
車のエンジンをかけると同時に、先ほどまで聴いていたお気に入りの音楽が流れ出す。でもなんとなく聴く気分にはなれずに、すっとスイッチを切った。
最後まで笑わなかったれおくん。
焦点の合わない目で、彼が見つめていたものはなんだろう。
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