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彼らには、父親も母親もいる。
私はどちらもあまり知らない。
お父さんに限っては一度も見たことがない。お母さんも、目にしたのは、一度か二度程度。
保育参観や、運動会にも顔を出されることがないため顔さえ浮かばない。
ー ネグレスト ー
つまり、育児放棄。
誰かがそう言っていた。
朝は早く、帰りはほとんどお迎えに行くことができない私は、あまり保護者の方と話す機会が少なくて、このことを知ったのは、ほんの一年くらい前。
最初はただの噂にすぎないんじゃないかって。
そう、思っていた。
しかし、今年の役員決めのときに、来てない親が役員になるべきだとか、ちょっとしたいざこざが起きたとき、園長先生自ら、彼らの両親のことを聞かされて、それが単なる噂ではなかったんだということが分かった。
正直、テレビやドラマでそういう家庭を見たことがあっても、自分の身近なところではありえないような、そんな気がしていた。
だから、それを知ってからは彼らを見る度に、どんな思いで過ごしているのだろうか。ちゃんとご飯は食べているのだろうか。
そう思わずにはいられない。
彼らの真意や本意は分からないけど、
ちょっとした瞬間に見せる笑顔に多少救われるのだ。
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