【10】小さな絆

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会社を出て向かった先は、保育園。 早く帰れるときくらいは迎えに行ってあげないとね。 『きょー、なんでママー!?』 ってニコニコして言う1号の顔が浮かんで、顔が綻ぶ。 5時少し前くらいに駐車場に到着すると、見慣れた自転車が一台… 中に入ると、みさきちゃんのお姉ちゃんが迎えにきていた。 お迎えにもきてるんだな~、えらいなぁなんて思いながら、 横目で見ながら私は1号と2号のいる部屋へと向かった。 二人を連れて、園庭を歩いていると、みさきちゃんたち三人が歩いて帰る姿が見えた。 周りは、畑や田んぼに囲まれているため、三人の姿は容易に捉えることができた。 みさきちゃんとれおくんは手をつないで何やら話している様子が見てとれる。 その少し後ろを、自転車を押しながら、二人のペースに合わせて歩くお姉ちゃん。 普通なら、小さい二人の前を歩きそうな気がするが、あえて後ろでゆっくり歩く姿は、二人を見守る小さなお母さんのよう。 車ですれ違う瞬間、三人をみた。 みんな笑ってた。 そこに感じた確かな絆。 この子たちが四人兄弟でよかった。 彼らの未来がどうか明るいものでありますように。 大人になったとき、自分で未来を切り開ける力を身につけてほしい。 困っているときに、助けてあげられる大人がもっと増えればいい。 私は心からそう願う。
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