【11】虎太郎と謎のおじさん

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ひ…ひいてないよね? すると右側に人影が… パッとそちらを見ると、その人はいた。 そこで初めて気づく。 その人はまだ若めの男の人で、 しかも… 全裸。 そんでもって、今にもinoがいる運転席のドアを開けようと手を伸ばしていたのだ。 ふぁっッッッ!!!!! びっくりと恐怖で変な声がでた。 と、同時にアクセル全開急発進!!!!! キュルキュルキュルキュルッッッー いきなりアクセル強く踏んだもんだから少しタイヤが空回りしたのが分かった。 でもそんなのどーでもよくて、一刻も早くあの場から逃げたかった。 どれだけ進んでもいっこうに鳥肌が治まらなくて、伸ばしたあの手が頭に焼きついて、怖かった。 もう少し気づくの遅れてたら、ドア開けられてた? そう思うと、しばらくは身体がガクガク震えた。 帰り着いてお風呂に入る頃にはようやく興奮もおさまって、 一気に100日ほど寿命の縮まった体を芯まで温めた。 落ちついたからだろうか。 ちゃぽんと鼻下までお湯につかりながら、あの人は、あんな格好で寒くなかったんだろうか…なんて思った(笑) それにしてもまさか全裸とは思わなかったよ。 人間って、気にして見ないと気づかないもんだね。 全てが瞬間的に起こったおかげで、全裸だったが大事な部分は見なくてすんだ(笑) 翌日、急ブレーキと急発進したその場所にはくっきりとタイヤ痕だけが残っていた。 おしまい
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