【11】虎太郎と謎のおじさん

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ワースト1位 『バイク男 VS 自転車ino』  ino高校二年生。 季節は冬。 部活を終えた私は、当時付き合っていた彼氏と自転車を押しながら、いつもの交差点まで歩く。 家の方向が違う私たちは、いつもこの交差点まで一緒に帰っていた。 でもすぐバイバイするのは名残惜しくて。 結局、長々と立ち話をしてしまう。 お互いの家が近くだったらなぁなんていつも思った。 ただでさえ冬は日が短いというのに、 部活を終えて立ち話なんかやってたら、あたりはもう真っ暗になっていた。 車の通りはまばらだが、周りにはたくさん民家もあって、田んぼだらけの自転車専用道路を帰るより、よっぽどマシだと思った。 あんなとこ通ったらオバケでも出そうだもん(笑) 彼氏に『またあしたね~』と手を振ってようやく私たちは分かれた。 自転車をこぎながら、後ろを振り返ると彼氏の後ろ姿が見えた。 それと同時に先ほどの交差点から一台のバイクがこちらと同じ方向へ進みだしたのが分かった。 特に気にするわけでもなく、家に向かって軽快に自転車をこいだ。 その間に何台もの車が通り過ぎて。 ふと気づくと、道を挟んだ反対側にさっきのバイクが見えた。 若い男の人が乗っているようだった。 バイクなのに、なぜかスピードはのろのろで、私が進むペースでそのバイクも進む。   そして、ちらちらとこっちを見ているのが分かった。
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