【11】虎太郎と謎のおじさん

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中学時代、仲の良かったケンちゃんにすごく似ていた。 バイクの目の前まで来たとき、 「ねぇ」 と、声をかけられた。 ケンちゃんかもしれないと思ったせいで、その場で自転車を止めてしまった。 ようやくマジマジと男の顔を見る。 …あ…やばっ… ケンちゃんじゃナイ( ・_・;) その男はケンちゃんによく似ていたけれど、あきらかに知らない人だった。 しまったと思い、 慌ててペダルに足をかけた瞬間、 「ねぇってば。」 もう一度声をかけられて、顔だけ少し男の方へ向けた。 すると、その男はなにかをしゃべりだした。 でも言っていることは支離滅裂で、正直なにを言いたいのかさっぱり分からなかった。 思わず、 「はぁ?」 と、素っ頓狂な声がでた。 その男の目は据わっていて、少し呂律がまわっていないように思えた。 ちょっとおかしいんじゃない? 相手にしちゃいけない。 帰らなきゃ! その瞬間、また発せられた言葉。 「俺と一緒にこい。 一緒に×××××しよー。」 口角が少しニヤリとしたのがわかった。 (゚Д゚;)!!!!! さすがにその言葉の意味は私でも分かったわけで(笑) これは逃げなきゃ、マズイ!! 「けっ、けっこうです!!」 なぜか真面目にお断りの言葉を告げた。 そして、すぐさま自転車をこいだ。 後ろを振り返らずに猛スピードでこいだ。
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