【11】虎太郎と謎のおじさん

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これでもかってくらいペダルをこぎながら、 あたりを見渡した。 こんなときに限って、民家の明かりは人がいるのかいないのか分からないような薄いもので。 もしも誰もいなかったら…… と、思うと飛び込む勇気がでなかった。 もっと。 もっと、確実に人がいるところ。 「ハァっハァっハァっ」 少し疲れてきて、時折ペダルから足が外れる。 でもまたすぐこいで。 「ハァっ…ハァっハァ…」 このままじゃ追いつかれる… どうしよう… すると。 少し先に、一際明るいものが見えた。 あっ! たしか、あそこ理容室だったはず!! もうそこしかない!
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