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――兄さんは
昔から可愛かった。
俺が3歳、兄さんが4歳の時にプロポーズした。
自分の誕生日に、玩具の指輪を父さんにせがんで買ってもらった。
「けっこん、してください」
緊張しながら頭を下げたら
まん丸の瞳を更に大きくしたあと、ふんわり笑って指を差し出してくれた。
知識なんかお互い何もなかったから、はめた指は左手の中指だったけど。
ドキドキしながら寄せた顔、触れた唇は――マシュマロみたいで甘くてびっくりした。
兄さんは幼稚園では、女の子よりモテていた。
寧ろ、男の子だと信じてもらえてなかった。
だから俺は、子供心に焦って
誰かにとられてしまう前にと
あんなこと(プロポーズ)したんだと思う。
両親はそんな仲のいい
俺たちを微笑ましそうに見ていた――
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