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扉に入ると、無数に扉があった。
その中の一つ、249号室に入る。
249号室は普通の部屋と変わらない、正方形の部屋だ。ベッドにテレビ、テーブル等がある、一般的な少女の部屋だ。
その部屋には、寝癖がついたパジャマ姿の少女がベッドに座っていた。
「おはよぅ…。」
少女はあくびをして挨拶をした。
「もうおはようの時間は過ぎたぞ?シグロ。」
「あぁホントだ…あ、そだ、仕事仕事…。」
シグロと呼ばれた少女は金色の髪をポリポリと掻きながら紙を引っ張り出す。
「さて、仕事に行きますかぁ…。」
紙を引っ張り出したシグロは、高木がいるのにも関わらずに、パジャマのボタンを外す。
「いやいやちょっと待て!?何で男の前で脱いでんの?」
「え?何で?高木って男だったの?」
シグロは完璧に知らなかったような顔をして言った。女の子に男って知られていなかった自分に涙が出てくる。
「まぁ、どちらにしろ高木は高木でヘタレだからいいよ。どうせ襲う勇気はアリさんよりも無いんだから。」
「ぐはっ!?何!?何で正当な意見を言ってディスられるの!?え?何?アリさんより勇気が無い?ふざけるな!!勇気が無いんじゃなくて襲った後にくる罪悪感が嫌なんだよ!!」
「ほら、襲う勇気はあっても襲った後の勇気は無いんだから。」
こうやって会話をしながらいつの間にかシグロは着替え終わっていた。
黒のTシャツの上に羽織る紫と白と黒のハードジャケットにショートパンツを着用した姿は可愛かった。
「さて、行こぅか?」
シグロは高木が入ってきた扉の前に立ち、鍵を一本取り出した。それを普通ならないはずの鍵穴に差し込む。
「アンロック・ザ・オープン…魔法世界。」
そう言って鍵を回すと穴が出来た。穴の中を通ると、そこには小さな街が現れた。
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