1,白い記憶

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体は疲れていなかったが、自分の変わらない状態に一種の疲れを感じて、元の場所に戻って座り込む。 なんと不思議な場所なのだろうか。 (そういえばここどこなんだろう。ちっとも考えていなかったけれど。どうして私はここから出たいんだろう。) そう考えると、この白い空間に存在することが普通なのかもしれないと思うようになってきた。 ここにいることが当たり前だと考えていると、目の前にある階段に安心感と不安が混じり合ったような、まるで高い所から落ちるときのあの浮遊感のような感覚になってきた。
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