★秘密の告白

5/11
前へ
/243ページ
次へ
「ごめん……」 その人物は、昨日澪が告白した相手。 小林 大輔だった。 何も返す言葉が見つからず、澪その場で静止してしまう。 動揺が隠せない。 「あのっ……」 「朝宮、あのさ、俺「おい、小林」 え? 何かを澪に伝えようとした小林 大輔の言葉を遮って、稚尋は口を開いた。 それはもう、ありえない言葉を盛大に吐き出しながら。 「そいつ、今日から俺の女だからさ」 稚尋は小林 大輔の前で満面の笑みを浮かべながら言った。 「わかるよな?」 本当に、何を考えているのか全く分からない。 「桜……」 稚尋は笑顔で圧力をかけ、小林 大輔に返事を求める。 「ちょっと待って桜君っ……何も……!?」 稚尋を止めようとした澪だったが、逆に稚尋に口を塞がれてしまう。 ちょっと待って。 私の気持ちは? 澪は突然の出来事に頭が真っ白になる。 周りの生徒たちも、多感な時期の学生たちが一斉にどよめく。 朝っぱらから熱烈なラブシーンを見せつけられたのだから、当然だろう。 軽い女。 澪を知る周りの生徒たちからしてみれば、そうとしか映らないだろう。 澪は、それがどうしても嫌だった。 「あぁ、わかってる」 しかし、小林 大輔は何もなかったかのように軽く頷く。 大した動揺もない、爽やかな顔だった。 この事態に、さすがに澪は困惑した。 何で?コバミ……どうしてそんな目をするの? 私、桜君の彼女なんかじゃないよ。 澪の言葉は彼には届かない。
/243ページ

最初のコメントを投稿しよう!

143人が本棚に入れています
本棚に追加