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「ねぇ、見て見て~!高波先輩いるよ~」
「わぁ、本当だぁ~」
「ねぇー、もう、たまんないよね~」
今日も騒がれる彼。
高波 冬馬(たかなみ とうま)
私の学年の一個上で二年生。
成績優秀、スポーツ万能。
容姿、性格──全てが完璧…
通称、学園のプリンス
女子は彼と近づきたいと必死だ。
窓際で今日も女子達が身を乗り出して彼の姿におおはしゃぎ。
そんな彼女達を横目に呆れていると、
「あき~」
私の友達、春坂 愛花(はるさか あいか)通称、あいが私に駆け寄ってきた。
「──ん?」
「係の仕事終わったから、一緒に帰ろ~」
「うん、いいよ!帰ろっか」
机の横にかけてあったカバンをとり私とあいは教室を出た。
帰り道、いつものように夕日に照らされた道を歩く。
「ねぇ…あきは興味ないの…?」
ふいに、あいがそう聞いてきて首をかしげる。
「──何が?」
「な、何って……その…た、高波先輩のこと……」
「高波先輩?んー、そうだなあ、私はないかな」
「ほ、ほんと…?」
「うん。あいに嘘なんかつかないよー」
「─…っ、そ、そっか……。」
ホッとした表情で頬を赤らめ、嬉しそうな顔をするあい。
その顔は、今まさに恋してますって表情で。みているこっちがつい頬を緩めてしまう。
かわいいなあ、なんて。
あいが、高波先輩のことが好きなことはだいぶ前から知っていた。
それなりに付き合いも長いからね。
だからこそ、なおさら言えない。
私が──……
「──じゃあね~また明日~」
あいが、元気よく手をふる。
「うん、また明日ー」
手をふりかえして、別れたのは私がすむマンションの前。
20階建てのマンションの15階に私は住んでいる。
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