1:私×ヒミツ

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なれた足つきでエレベーターに乗って15階へ。 下りてすぐの左右に伸びる渡り廊下を右へ進み、ある一室の扉の前へと歩いて行く。 その扉のドアノブを引けば、鍵がかかっていないことに気付き、“彼”がすでに帰ってきているのだとわかった。 ガチャリと、静かにドアを開けて。 「……ただいま」 小さな声で、ため息を漏らしそうな声で、そう言うと 「…おかえり、あき」 と、声がかえってきて。 ピタリと、私の動作が止まる。 なんで、今……このタイミング? たしかにいることはわかっていたし、「ただいま」と、言ったことに、「おかえり」が返ってくるのは当然のことだけど。 どうしても、彼から「おかえり」と言われると、身構えてしまう。 「あき…?」 ピクリと、肩が揺れた。 こういう声をまわりの子達は、甘い声だの天使のささやきだとか言うんだろうけど… 私には悪魔か死神のささやきにしか聞こえない。 「どうかした…?」 少しずつ近づいてきた影がそっと私の頭をなでて。 私の髪を掬って弄ぶ。 「……別に、どうもしてないケド…。」 手をはらいながらそう言えば、 「そっか、ならよかった。」 その影は妖艶にフフッと笑った。 ………余裕だらけ、悔しい。 ──そう、誰にも言えない私の秘密… それは── 学園のプリンスこと、高波先輩と同居しているってこと───……
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