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正直に言ってしまえば、私はこいつが嫌いだ。
「……ん?あれ…冬馬、校庭にいなかった…?いつの間に帰ったの?」
帰るまえに校庭にいる冬馬を確かに見た(友達が)って言ってたきがする。
「んー…、ヒミツ」
「…いや、ヒミツってほどのことじゃないんじゃない?」
気だるそうな冬馬を軽く睨み付ける。
「まぁ、言うまでもないってこと。」
私の視線を軽く受け流して。
いたずらっ子の笑みでそう言うと、大きなあくびをひとつして、ソファーに腰を掛けた。
「ふーん、あっそ」
別に知りたい訳じゃないから。いいもん、別に。
「まあ、それはそうと今日の夕飯なに…?」
───私はあんたの飯使いか何かですか?
自分で作ればいいのに。
高校生でしょ? 私より年上でしょーが。
──まあ、いつものことだけど。
作っちゃうんだけど。
「──オムライスだけど…」
「ふぅん…」
「“ふぅん…”って……嫌なら食べなくていいけど?」
その方が私も二人分作らなくておおいにありがたいんですが。
食費も浮くしね!
「……っふは、嫌な訳ないって。オムライス、俺の大好物だし。」
そう言って、冬馬がソファーから見上げるように私の顔をのぞきこんでほほえんできた。
王子……いいえ、──悪魔のほほえみで……
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