2:学園のプリンス×ヒミツ

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───いつもの放課後。 校庭で友達と戯れていた俺は、ふと聞こえてきた声に足を止めていた。 いつものように校舎から聞こえてくるそれは、女子の話し声で。 「ねぇ、見て見て~!高波先輩いるよ~」 「わぁ、本当だぁ~」 「ねぇー、もう、たまんないよね~」 ──……意味、不明なんだけど。 女子っていう生き物はどうしてこうよく知らない奴のことであんなにキャーキャー騒げるわけ? ───しかも、勝手に人のことを“学園のプリンス”とか言ってるし……… 横目でチラリとその騒がしい方をみると、見慣れた姿が見えた。 「……あき?」 肩の高さで揺れる髪が、風邪に撫でられてなびいている。 俺が、同居…いや、居候と言うべきか。 親の都合上、簡単に言えば“一緒に住んでいる”いっこ下の女子……まあ、関係上は幼なじみ。 松城 秋菜(まつじょう あきな) 後輩で唯一、俺のことを下の名前で“冬馬”と呼び捨てにしている女子。 ──まぁ、それも家の中だけだけど。 そう自分で心の中で呟いといて、いったそばからなぜか気分が沈む。 その理由は自分でもわかりきってることで。 家の中だろうと外だろうと、あきに下の前で読んでほしいと思ってるからだ。 「──冬馬?」 「………」 「…おい、冬馬」 「………」 「──冬馬!」 「っあ……ゴメン、何?」 友達に呼ばれていることに気がついて、ハッとなって校舎から目をそらす。 そんな俺にじとっと視線を送る親友は、膨れたように口を開く。 「──ったく、キャーキャー騒がれて……さわやか笑顔でも向けてたか?」 友達が目を細めて。 「向けてねぇよ」 だいたいさわやか笑顔ってなんだよ。 「それじゃあ、なんだよ……あっ、もしかして……!」 なにかを閃いたのか、友達はニヤリと口角を上げて笑う。 その含みのある笑みが、嫌な予感を掻き立ててきて。 「んだよ……」 こういうとき、こいつはやけに勘が効くからな。 嫌そうに見据えていると、友達がそっと耳もとでささやいてきた。 「───かわいい子でもいたんだろ?」 「──っ!」
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