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信じてないなーと言いながら拗ねた表情を見せる自称神様。
いや恐らく現在を生きる人間の大多数が信じないと思うんだけ
ども。仮にいたとして、きっと神という存在を自分という存在
など塵芥として、一目でも良いから見ようと腐心してる敬虔な
信者とかがやっとだろうか。
こうまで言ったが正直な所は何一つとして分からない。自分の
意識下では信者という物になった覚えはないからな。
恐らく今後もなる気はない。信者という言葉にも実物にも、良
い思い出なんてそれこそ微塵も無いのだから。
「信じないなら証拠を見せれば良いんだよね…。えいっ」
変な考え事をする俺の前で、彼女は言葉と共に何も無い空間へ
向けて指先を向ける。釣られる様に俺も視線を向ければ
「ふぁっ!?」
情けない声が出たと思う。だが仕方ない事だとも思う。
良く言えば誇らしげで、悪く言えばドヤ顔技能75でクリティカ
ルを出した表情をするミリシアを視界の隅に収めながら
「まじかよ…」
突如として空間と同色のテーブルと共に、たった今淹れたばかりなのが見て取れる程に湯気を立ち昇らせた紅茶が現れたのだ
から。
分かったからそのドヤ顔やめろ。
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