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『変わってないなあ…』
ピンク屋根が目立つ大きな家。
近くにある公園も。遊具も。
傍にある桜の木もあの頃のままだ。
今年も綺麗に咲き誇っている桜が迎えてくれている気がした。
『…ただいま』
桜に微笑みかけ、家に入ろうと振り返った瞬間、誰かとぶつかった。
『わっ!…ごめんなさいっ』
同じ制服?僕より少し身長が低いけど、同い年くらいだろう。
『えっと…大丈夫?』
顔を覗き込むが、少年は地面のほうを見たままだ。
何かあるのか。地面のほうに目を向けると、棒のようなものが視界に入った。
おそらく少年のものだろう。それを拾い上げてみた。
杖?なんでこんなもの…。
『これ…探してる?』
少年は、首を傾げる。
『この杖、君の?』
その言葉に少年は、やっと反応を示した。
『拾ってもらってもいいですか?』
そう言って、手を出した少年に杖を渡した。
『ありがとうございます』
ふわっと笑った少年。…焦点があってない?
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