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「……ふ、当たり前だよな」
視界に入った画面は黒一色。それもそうだ。このケータイはとうの昔に使い物にならなくなっている。なんてことはない。昼間ゲームをし過ぎて電池が切れただけだ。それでも今落とした衝撃で偶然復活しないかなと願うほど僕は精神的に追いつめられていた。
「山の神様のバチでも当たったかなぁーっ!」
ヤケクソになってそう叫んだ。木の上のほうで野鳥が飛び立つ音が聞こえる。知らないうちに太陽は完全に沈みきってしまった。
それでもかまいはしない。僕は叫び続けた。
「ごめんなさぁーい山の神様ぁ! 許して下さぁーい!」
山の神様の名前は知らない。というかそもそも神様がいるかどうかすら知らない。それでも僕は叫ぶのをやめなかった。いや、やめることができなかったというほうが正しい。黙ってしまうと精神的に駄目になってしまいそうだったからだ。
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