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――…“お忘れ物が御座いません様、ご注意ください”
車内にアナウンスが流れ、電車が駅構内へとゆっくりと滑り込み、停車する。
ほぼ満員状態だった窮屈な車内から、他の乗客に合わせて流れるようにホームへ降りた。
地元から近いこの場所だけど、普段あまり繁華街へ来る事もないから、どこに何口があるのか分からない。
案内版で東口を確認して、やっとの思いで辿り着いた改札を抜けると、鞄から携帯を取り出してユカリに電話を掛けた。
『はいは~い』
3コールで電話に出たユカリは、いつも通りノンキな口調。
「今改札の所に居るんだけど、アンタどこにいんの?」
『左見て、左。パン屋の前にいるよ』
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