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祭りも賑わいが増し、夜も更けて来た頃…
「完全に旦那達を探すのは不可能になったね…」
「そうだな…」
夜店から離れた場所に小十郎と佐助は佇んでいた。
元々、人込みをあまり好まない二人はあの後さっさとあの場所を離れたのだ。
良く見れば、佐助は腕を小十郎の腕に絡めて肩に頭を預けて寄り掛かっている。
そんな佐助を小十郎は拒む事無く好きにさせている。
「どうするかなぁ…本当…」
流石に心配になって来たようである。
そんな時…
「おい…そこに居るな?」
いきなり小十郎が全く先の見えない闇の中に顔を向け言葉を放った。
佐助は、驚いて小十郎を見やる。
【は…此所に…】
暗闇の中から静かな水面の様な声が響いて来た…
「な…!?」
狼狽している佐助を尻目に小十郎は、完全に闇に溶け込んでいる声の主に命令を下す。
気配はするが、全く相手が見えない。
流石に佐助自身も焦る。忍である筈の自分が全く気付かなかったのだから…
「俺達はこれで城に帰る…政宗様達の事はお前達に任せる…頼んだぞ…」
【承知しました…おまかせを…】
そして、また静寂が戻った…
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