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真夜中の、しん、と静まり返った児童公園。
住宅街の中のこの小さな公園に、人影は無い。
ただ、ぽつんと1つ、オレンジ色を灯した深緑色の街灯が在るだけ。
そんな公園の片隅で。
風がさわっ、と戦ぐと、続け様にざわざわと吹き始める。
風は少しずつ小さく渦を巻き始め。
徐々に強まる風に合わせて、小さかった渦は高さを増す毎に幅を広げていき、中心に人が立てる程の空間が出来る。
その中心の地面からは、ボオッ、と青白い光が溢れ出て来て、徐々に円形の模様を描いていく。
旋風に、側に有るブランコがキイッと音を立てて揺れている。
やがて光は、魔法陣と呼ばれるものを完成させ。
陣はより強く白く、輝きを増して遊具を照らし出す。
ブランコがキイキイ音を立て激しく揺さ振られ。
公園内に白い光が溢れる。
その場の景色は白一色。
と。
次の瞬間。
其処にはもう何も無かった様にピタリと風は止み、光の陣も消えていた。
不思議な事に、ブランコも激しく揺れていたのが嘘の様に静止している。
再び、静かな公園に戻っていた。
その場に1人の子供を残して。
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