2100人が本棚に入れています
本棚に追加
***** side 高村
滝沢先生が元勇者で宗方君が異世界人、という衝撃的な事実に、驚きと共にどこかワクワクしている自分が居ます。
見慣れない魔法陣。
この年で使いこなす宗方君は、規格外のようで、滝沢先生が呆れています。
お父様の修行が厳しかったと青ざめている宗方君の頭を撫でて。
しかし、あんなに魔力を封じていて、結界を張ったりペンダントに魔法陣を刻んだり……かなりの魔力消費が有る筈なんですがね?
まだまだ余裕そうです。
結界を感知してみれば、感じ取りにくい彼女の魔力は非常に緻密で、質もコントロールも素晴らしい事が窺えます。
成る程、加減が出来ない筈です。
この魔力量に耐え得るだけの身体なら、指先でつつくだけで骨を砕けるでしょうね。
折原にも黒井にも実際は触れずに倒したから大事には至らなかったけれど、下手したら殺人事件ものです。
何事も無く、本当に良かった。
「滝沢先生を迎えに来たと宗方君は言っていましたが、ご一緒に彼方に戻られるんですか?」
ふと、先程浮かんだ疑問をぶつけてみると。
「そのつもりだ。魔王が復活したら今度こそ倒す!」
両手を握りしめ、悔しそうに顔を歪める滝沢先生。
「私も滝沢先生と同じ世界に召喚されたのなら良かったのに」
最初のコメントを投稿しよう!