ご挨拶は初めが肝心です?

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主任が家に来てからたった30分しかたっていないのにこの疲労感といったら…… 「本日伺ったのは1つ相談がありまして……」 相談? なんのこと、だろ? そんな話、何も主任言ってなかったのに。 「桃華ちゃんが東京に遊びに行ったりするのは全然気にしなくても、ねぇ?お父さん?」 「え?、あーいや、その。なんだ。 まぁそうだな……」 お父さん、主任が家に来てからというもの視線がさまよってばかりで落ち着かない様子。 今すぐ嫁に出そうって言うんじゃないんだからそんなに緊張しなくても。 「そう言っていただけるとこちらも安心です」 「もちろん、うちにもいつでも遊びに来てくださってもいいんですよ?」 ちょっと、お母さん、何言い出すのっ 彼女の家にそんなに気軽に遊びに来るわけないでしょう? 「ありがとうございます。…それで、相談なんですが」 「あら、そうね。私ったら、どうぞ、堂地さん」 …ゴクリ 私の寝相が悪いから何とかしろとか… いやいやまさか、そんなこと言うわけないよね? それとも… 「桃華さんの現在住んでいらっしゃる家なんですが…」 家?って家よね? なんかあったっけ? 「職場の近くのアパートよね?」 「はい。何度か伺ったことがあるんですが、夜道はかなり暗いですし、セキュリティーも万全とはいえません」 まぁ確かに。 でも就職してからずっとあそこに住んでるし、今までも特に何も怖いようなことはなかったけど? 「まぁ、そうよね。桃華ちゃんに任せちゃったからその辺はちょっと甘かったかもしれないわね」 ちょっと、お母さん。それ今言う? 「それでご相談なんですが、―――― 要するに、主任が住んでた家っていうかマンションの部屋。 そこに私を住まわせたいといっているわけで。 「桃華さんと一緒に実際に見てから決めていただいても構いませんし」 「主任っ?!そんなことっ私聞いてな…―― 「桃華ちゃん、自分の彼の事、役職で呼ぶだなんて失礼よ?」 はぃい?! お母さん、怒るトコなんか違う気がしますけど? 今、私。初めて聞いたって言ったよね? なのにそっちじゃなくて呼び方?! 「普段から、なかなか名前で呼んでもらえなくて…」 何そこで、寂しそうなフリとか、主任もしちゃってるんですか? しかもなんか私、すごく立場悪っ。
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