ご挨拶は初めが肝心です?

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でもでも、私。そんな話聞いてないですから。 「ジュ、ジュンさんっ。だからそういうことは」 「一度桃華ちゃんと一緒にうかがってもいいかしら?」 「えぇ、もちろんです。私はご一緒できませんが……」 「桃華ちゃんっ、早速来週にでも時間とって頂戴?」 「…ハイ」 言い出したら聞かないお母さん。 私はただ返事をすることしか出来なかった。 あぁ、なんか。私。 自分の家なのに、何でこんなに肩身の狭い思いしてるんだろ。 気づけばお父さんもとうとう主任と打ち解けてなんか楽しそうに話してるし。 見ればお茶がなくなっていたから、「コーヒー淹れるね」って言って席を立ち、キッチンに向かう。 カウンターのところでコーヒーを淹れていたらお母さんがやってきて 「桃華ちゃん、堂地さんすごく素敵な人ね」 見た目はほんとにそうです。 たぶんお母さんも私と好みが似てるからかなりタイプなんだと思う。 「それに、すごく桃華ちゃんの事考えてくれて」 私の事?考えてくれてる? 主任に振り回されてるようにしか感じませんけど。 ドキドキさせられてばっかりだし、意地悪だし。   それに、いつも勝手に色々決めてその場でそれを言うし。 「そう、なのかな?」 「遠距離だし、桃華ちゃんのことすごく心配なのね」 今だって、ほんとに私でイイのかなって思ってる。 主任は大人で、こんな場面でもうまくやっちゃって…… もしも私が同じ立場ならって考えたらすごく不安になる。 「……私が、お子様だから?」 「そうじゃないわよ。桃華ちゃんが大切だから」 大切? 「でも、私。見た目こんなだし。主任と並んでていいのかなって……不安なの」 「桃華ちゃん。そういう事。ちゃんと口に出して言わないとわかんないわよ?遠距離なんだから、尚更ね」 そうだ。 主任、東京に行ってから付き合うことを決めて私に言ってくれたんだ。 最初から遠距離ってわかってても捕まえにきてくれたのに。 「…わかった。伝えられるように努力してみる」 「桃華ちゃん次第って、言ったでしょう?」 あぁ、そんな事前にお母さんに言われたっけ。 「うん。がんばる」
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