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コーヒーを淹れてリビングで4人でお話していると玄関からチャイムのなる音。
「ちょっと、出てくるね」
席を立ち、3人を残して玄関へ。
うちは今時のカメラつきのものなんてつけてなくて、一度つければ?って言ったらご近所さんにカメラで話しかけるなんて失礼でしょ?といわれた、
まぁ田舎だからそれでもいいのかもしれないけどね。
「はい。」
「あら?桃華ちゃん?」
その声に驚いて、ドアを開ける。
「蜜柑子伯母さん……」
「よ、桃。」
「…と潤にぃ」
「と、ってついでみたいに言うなよ」
ニッて笑って見せた潤兄。
「いや、あの、今日って来る予定だった?」
「いいや、近くまで来たから寄るかって母さんが」
「あ、そうなんだ。えっと……」
「誰か、来てんの?」
玄関に並べられた男物の靴。
うちのお父さんのものじゃないのは明らかで、なんていっていいか。
「お客様なら、私たちは……
「姉さんっ、あら、今日はどうしたの?」
「ちょっと近くまで来たからよっただけ、なの」
「電話してくれたらよかったのに、」
「お客様、なのよね?」
「そうなのよっ、姉さん。桃華ちゃんのね、彼がご挨拶に来てるの♪」
う。
なんか今語尾に♪マーク見えましたけど?
その瞬間蜜柑子伯母さんの顔がぱぁっと輝いた気がした。
「あら、まぁ。それは邪魔しちゃ悪いわね」
「なんか、悪いわね。せっかく寄ってくれたのに。潤季ちゃんもごめんなさいね」
潤兄ははっとして
「桃、彼氏。できたんだ?」
片眉を上げてなんだか不機嫌そうに聞いてくる潤兄。
「あーまぁなんていうか、そうかな」
「ふぅーん。物好きもいるんだな」
「ちょっと、失礼じゃない?」
「ま、せいぜい振られないようにしろよ」
そんなこと言われなくたって。わかってる。
「あ、私たちもう帰るから伯母さんたち良かったら寄っていって?」
そこにお父さんがひょこっと顔を出して、
「母さん、そろそろ堂地くん帰られるそうだよ」
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