ご挨拶は初めが肝心です?

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お父さんの後ろから主任の姿が見えた。 伯母さんと潤兄に主任を見られるのは恥ずかしいって言うか…… 「あら?桃華ちゃんと前にレストランにいた方?かしら?」 主任の姿を見た伯母さんがすぐに思い出したかのように言う。 あぁそうだ。伯母さんに見られて、それをお母さんやら伯父さんやらに言われてあの時は大変だったんだ。 「…そうデス」 なんだか、すっごく恥ずかしい。 あーなんでここで鉢合わせなんて。 「すみません、それでは」 主任が靴をはき伯母さんたちに会釈をする。 その様子を見ていた私に主任は、 「モモ?伯母さんたちもいらしてるし今日はゆっくりしていく?」 「いえっ、あの。帰りますっ」 主任は「そう、」と言ってから挨拶をする。 「それじゃ本当に見させていただきますね?」 「是非。お願いします」 そう言っておばさんと潤兄の前を通り過ぎる主任。 潤兄。なんだか主任の事睨んでませんか? あ、でも早く行かないと主任を待たせちゃう。 「じゃあ。またね。それと、来週の件また連絡するから」 「気をつけてね」 玄関を出て、先に外に出ていた主任の横に並んだ。 「すみません、お待たせして」 「モモ、また明日迎えに来てもいいんですよ?」 「え?」 主任の意外な申し出に戸惑う私。 ……主任は私と一緒に居たくないの? 「そこで何故不安になるんですか?」 「あ、」 「モモと一緒に居たくない訳ないでしょう?でも家の件もありますから」 「あ、その話はあとでちゃんと電話して決めておきますからっ」 「フフ そうですか。それでは帰りましょうか」 「はい」 そのやり取りをお母さんたちが見てたなんてことは私は気づいていなかった。 しかも潤兄と主任の視線が合っていたことなんてことも全く。 ただ私は、今度潤兄に会ったら冷やかされるのかな?なんてことをのんきに思っていただけだった。
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