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私は澤井凛。
高校1年生。自宅で武道や茶道、華道を習っているから部活には入っていない。
目の前で『待て』をくらってうずうずしているのは、私のたった一人の友人、片瀬陽菜子だ。
表情豊かで、嬉しい時も悲しい時もすぐにわかってしまう、子犬みたいな女の子。
ひょんなことから私と友人になってくれた彼女は、明るくて、太陽みたいに笑う。
その屈託のない笑みで、みんなを幸せにしてくれる子だ。
彼女が、無謀にも学園の王子様と呼ばれる柊慎也先輩に特攻……いや、告白をしたのが半年ほど前のこと。
紆余曲折ありながらも見事、彼を射止めた彼女の現在の目標は、『柊先輩のことを名前で呼ぶこと』だというのだから、強引なんだか消極的なんだかわからない。
そんな彼女を微笑ましく思うし、可愛らしいとも思う。
守ってあげなくちゃ、と思ってしまう。
私に兄妹はいないけれど、もし妹がいたら……こんな感じなのかしら、なんて思う。
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