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その彼女の彼氏となった、柊先輩。
彼は、表面上、とても優しく穏やかな王子様、ということになっている。
少なくとも女子生徒の中では密かにファン倶楽部が設立される程度には、人気がありどこへ行っても注目を集めるタイプの人だ。
が、彼はその見た目とは違い、実際は氷のように冷たい男だった。
私が何度、可愛い陽菜を泣かせたことに憤慨して、抗議をしにいったことか。
思い出すといまでも腹が立つ。
少なくとも、陽菜に出会うまで、彼はただの冷酷な人間だった。
処世術として身に付けた綺麗な笑顔で周囲をかわし、誰とも深く関わることのない、寂しい人間だったに違いない。
そう、かつての私のように。
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