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「陽菜。言わなかったのは、ただ単に恥ずかしかったからよ。陽菜のせいじゃないの」
「…うん」
「それより」
いつまでも大事な友人のしょげた顔を見ていたくはない。
私はわざと、陽菜が動揺するような質問を投げた。
「柊先輩のこと、名前で呼べるようになったの?」
「えっ!?」
途端に、彼女の顔はかあっと赤く染まっていく。
相も変わらず彼女はとっても素直だ。
「どうなの? 陽菜」
「え、えっと……頑張ってるんだけど、でも、やっぱり恥ずかしくって……」
しゅうしゅうと湯気を立てているような錯覚を起こしてしまいそうなほど、彼女は赤くなって俯いた。
私は苦笑しながら彼女に言う。
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