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「……そういうわけで、とりあえず、報告」
「『とりあえず』というのがひっかかりますけれど、おめでとうございます」
「良かったなぁ! 陽菜ちゃん!」
「は、はいっ!」
学校近くの、喫茶店。
私たちは4人揃ってお茶を飲んでいた。
名目は、“お披露目”といったところか。
晴れて付き合うことになった2人が、『お世話になったから』と言って誘ってくれたのだ。
柊先輩と陽菜が、向かい側で笑っている。
その空気が、いままでとは180度違っていた。
やさしくて、柔らかい、そんな雰囲気。
随分遠回りしたように感じるけれど、いまとなってはそれも必要な時間だったのだと思えるから不思議だ。
少し照れながらも並んで座る2人を見て、私の隣に座る高原先輩も、何だか嬉しそうだ。
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