触覚のキオク

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子供が生まれたという友人に久しぶりに会った。 彼女とは20代の一番夜遊びしていた頃、よくつるんでクラブに行っていた。 久しぶりに会う彼女はすっかり化粧っけもなくて、お母さんと言った感じの服装。 あの頃彼女は自分の事をよくわかっていて、その白い肌の引き立つ服装をしていた。 そしてそれを引き立てるメイクも念入りに施していた。 だから今の彼女は何か……… 「ひさしぶりだね。元気だった?」 「あ、うん。元気。あいかわらず仕事忙しい」 「そうなんだ~。彼氏は元気?」 彼氏? 誰の事を言っているんだろう? 彼女と遊んでいた頃は彼と呼べる人はいなかったし、 「あーなんだっけ、私が結婚する時に付き合い始めた人」 誰、だろ。 記憶を手繰り寄せていくけど全く心当たりがない。 「ほら合コンで盛り上がってたあの人」 「合コン?」 「取引先の……」 うっすらと想いだしてきた記憶。 あぁあれは… 「ごめん、あのあと数回ヤッて別れた」 「ちょ、あいかわらず男らしい発言ね」 そんな彼女に苦笑いする私。
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