触覚のキオク

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「私もこの子が出来なかったら、バリバリ仕事してたのかなー?」 ムリムリ。 あの頃彼女は、仕事より遊びに夢中だった。 そんな彼女が仕事を続けたとしても今私がいる地位に着くなんて事はきっとない。 旦那さんとは友人に紹介されたらしい。 たまたま彼はすごく堅実で、敬虔なクリスチャンだった。 そんな彼と付き合う事になってからパッタリと夜遊びはしなくなったけれど。 彼女の旦那さんは外国人。 彼女は彼と会う前からずっと黒人の人とばかり付き合っていた。 《肌が合う》 黒人の人と肌を合わせるとしっくりする。 彼女はそう言っていた。 けれど私は言葉も通じない、体も自分よりもだいぶ大きい彼らには興味はなかった。 それなのに、なぜあの日私は彼女達についていったのか。 きっと彼女の言った《肌が合う》 その言葉を身をもって体験してみたかったから。
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