触覚のキオク

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「オマタセ」 彼は確かに日本語でそう言った。 待ってた覚えはない。 しかも当然のように私に手を伸ばす彼。 「キミと仲良くシタイ」 そんな言葉ばかり覚えるのね。 「私は仲良くしない」 私の手首をつかみ彼のもとに引き寄せられる。 行為の後だから彼の匂いが強く感じる。 私にそれ香りは……。 彼のシャツのはだけた胸元に手を置き、思いっきり腕を伸ばした。 手を伸ばした時にシャツではなく直接彼の肌に触れてしまった私は少し驚いてパッと手を離した。 何?あの質感? あれが人の肌? 彼は少し汗ばんでいたと思う。 けれどそれだけでなく…… 「ドウシテ?」 私の顔を覗き込んできた彼はわからないと言った目で聞いてきた。 彼の肌に惑わされてうっかり手を伸ばしそうになっていた。 だけど、さっき友達とヤッたばかりで私ともって。 どうしたらそんな風に考えられるのか? 彼女に興味があるのなら、彼女だけでいいだろう。 私に興味があるのなら、私だけでいいだろう。 けれど彼は違ったんだ。 どちらもお持ち帰りした、そのつもりだったらしい。
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