触覚のキオク

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すっかり帰り支度を終えた友人は、 「じゃあ帰るね。ここはご馳走になっても?」 「あ、え?もう、帰るの?」 まだ時間はたっぷりあるはず。 今日は夕方まで大丈夫って最初に言っていたのに。 「あたりまえじゃない!元気な姿見られたし、それに…」 チラリと携帯を見てから 「早く彼に会いに行っておいで」 「…―でもっ、」 「せっかく今数年来の答え合わせしたんだから。確かめておいで?」 そう言って彼女は席を立ち、出口へと歩いていった。 残された私は携帯のメール画面を呼び出し、返信ボタンを押す。 ________________ 今すぐに…私に触れて ________________ メールを送った後すぐに携帯が震える。 彼からの着信。 家に居るという彼は30分でこちらに着くという。 30分も待てない。 電車で行けばその半分、、いや20分ぐらいで着く。 私は慌てて会計をすませて店を出た。 小走りで駅に向かい来ていた電車に飛び乗った。
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