聴覚のキオク

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はじめて二人で飲んだ。 最初はオレの行きつけのガード下の焼鳥屋に行き、次に彼女のお勧めのバーに行った。 そんなチョイスにも全く彼女は文句を言うどころかサイコーだと絶賛してくれた。 向かい合って、油とタレと炭のしみ込んだ空間で生ビールを流し込む。 まるで男友達と飲んでいるソレのような空間。 本当においしそうに飲むなぁ…… 2軒目のバーではカウンター席に座った。 右耳から聞こえてくる彼女の声。 アルコール入ってるから結構ヤバイ。 ナンダコレ 前聞いた時よりももっと彼女の声が体に響く。 それは俺の体の変化としてあらわれた。 ナンダヨコレ ただ隣で飲んでるだけ、ダロ? いつの間にか彼女の声に酔わされていた。 結局、そんな心地いい時間の中、終電が間際になるまで飲み続けていた。 酔うほどに飲むというよりも会話を楽しみながら飲むと言った感じで。 俺たちは、男友達とするように「また」と言って別れた。
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