聴覚のキオク

11/17

403人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
この前はかわいかったなぁ…… 酔った彼女を思い浮かべながら俺はいつのまにか声に出してた。 「は?誰が可愛いって?」 「あ?!」 「今、可愛かったって言わなかったか?」 「あぁ、いや、コッチの話。」 「ふーん。ま、いいけどな。おまえも研究ばっかしてないで彼女つくれよ」 そういう同僚の言葉に軽く悪態をつく俺。 彼女、にしてもイイのか? 不意に浮かんだ欲。 こんなに研究に忙しくて 会う約束してもそのせいでキャンセルになるコトもしばしば それなのに、イイのか? 頭の中で彼女の声を想いだし あの声を自分のモノにできたら あの声でずっとオレの名前を呼んでくれたら 「ハ…オレ、ヘンタイかよ」 もう一度自分の考えを否定するように頭をふった。 この時からオレはもう彼女を思い始めていた。 あうたびに 彼女の声を聞くたびに オレの欲は深まる
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

403人が本棚に入れています
本棚に追加