聴覚のキオク

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初めて彼女を抱きしめた。 彼女の家の玄関で。 手放したくない もっと彼女と一緒に居たい そう思っていた時、彼女の口から小さく「いってらっしゃい…」と聞こえた。 あぁ…彼女はココからオレを送り出してくれようとしている。 ならオレはここから「イッテキマス」そう言って去るのが正解だ。 一緒に連れていけない。 何年かかるかわからないから待っていてとも言えない。 ケレドいつか帰ってくるその日まで 『イッテキマス』 そう呪文を唱えた。 いつまでも消えない呪文であってくれるように 玄関を出てドアを閉めた。 あの声を耳に覚えたまま、オレは旅立つ。
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