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彼女に何度もメールをしようと思った。
あまりかけない電話も…
けれど、時差という壁がある。
彼女との隔たりは距離と心の距離と二つになってしまった。
『いってらっしゃい』と言われたあの日の彼女の震える声が今も耳に残っている。
もしかしたらまたあの時の震えるような声で話されるんじゃないか
もしかしたらオレの事なんてすっかり忘れて久しぶりなんてあっけらかんと言われるんじゃないか
この二つの考えが頭の中で交差する。
こんなことで頭を悩ますなんて……
俺は研究でひと段落ついた今日がクリスマスだという事に気付いた。
「そうか、もう……」
俺は雪降る街並みを写メすると彼女にメールした。
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ホワイトクリスマスだよ
飲み過ぎてない?
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色気のないメール。
それでもオレのコトを思い出してくれればイイ。
しばらくしてから彼女から返信があった。
忘れられてイナイってこと、だよな?
それだけで、今は十分だった。
『いってらっしゃい』
頭の中で彼女のあの声がよみがえる……
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