視覚のキオク

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「でね?その彼ったらね……」 もう何度目かわからない友人の一目惚れ話。 先ほどから延々と出会った時のシュチュエーションを繰り返し聞かされている。 友人はとても惚れっぽく、何度も運命の人との出会いを体験している。 大体、運命の出会いなんてものは一生に一度あるかないか。 なのにこの友人は毎回それを運命の出会いだと言う。 「それで?今度の人はどんな人なの?」 少し意地悪まじりで聞く私に、 「ちょっと、今度のっていうのはヒドイんじゃない?ほんっとに、今度こそ運命の出会いなんだってば」 「はいはい」 「もうっ、ほんとにそうなのに……」 頬を膨らましチャーミングな顔を見せた友人に話の続きを促した。 何度でも運命の出会いだと言いきれるこの友人がある意味羨ましく思える。 一目ぼれでさえ一度もした事ない私からしたら、一度でいいからそんな相手に出会ってみたい。 まさかそんな日が自分に来るなんて事思ってもみなかった。
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