視覚のキオク

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「あ、いいですかね?彼女飲み仲間なんですけど…」 「もちろんです。女性がいると花があっていいですしね?」 そう言ってまた彼は微笑んだ。      ***** 「なるほど。では彼女とは飲み仲間と言うわけなんですね?」 「そうですね、男っぽい飲みっぷりに惚れたってわけですよ」 そんな風に私の事を言う同僚。 なんていうか、その言い方にちょっと苛立った。 なんでたかが同僚の一言に苛立つのか… 「あれですね。同志みたいな感じ。」 同僚の言葉に対抗するように言う。 そんな私の言葉に、 「異性でそんな風に感じるだなんて羨ましい限りです」 「異性だなんて、そんなこと。きっと微塵も思ってないと思いますよ?」 ちらりと横を見て言う。 だからここに連れてきたんでしょう? 「そりゃそうだ。男友達みたいな感じですかね?」 ほら、やっぱり。 女として思うときなんて、あの瞬間だけ。 それ以外は私は仲の良いただの同僚でしかない。
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