視覚のキオク

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「なっ、おまえ今、何っ?」 もう2回もそんな関係になっているというのに、服を着たままでキスしたのはこれが初めて、 そんなシュチュエーションに彼は驚いたのだろう。 驚いたって言うか… 顔真っ赤――― 「おまっ、だからあの人とはどうだったんだよって」 「だから言ったでしょう?別に何ともないわよって」 「だから何ともないって、おまえアイツのことかなり好みって顔してたじゃん」 「ん。好みよ、すっごく。」 「はぁ?!」 「でも、それだけ…」 「それだけって?意味わかんねー」 「だって好みだからって好きになるかどうかなんて事わかんないじゃない?」 「いや、だって、あれだろ?」 「なに?まさか私があの人とどうかなって欲しいわけ?」 いつまでたっても話の進まない同僚に、段々といら立ちをあらわにした私はついそんな事を言ってしまった。 そんな事、思ってもいないのに。 「だから、そんな事言ってないだろ?」 途端、立場が逆転。 怒気をはらんだ声が飛んできた。
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