視覚のキオク

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同時に掴まれた手首。 パーテーションのある居酒屋だからって調子に乗った私も悪い。 でも、目の前の同僚は今すぐにでも押し倒しそうな勢いで…… まさかね。 こんな所でそんな事するわけないよね? ……大体、そんな飢えてないはずだし。 「ここで襲うわけないなんて思ってるだろ?」 急に思っていた事を言い当てられて慌てる。 だって、当然でしょう? 「ここどこだと、思って…―」 「ココどこだと思ってさっきあんなことしたんだよ」 あんな事。 キスしたこと? そんなの軽く触れただけだし、別にどうってこと…… 「それとも。場所、変えるつもりであんなことした?」 私がキスした事を納得していない様子で同僚は続ける。 「シラフで。あんな事したら、オレ誤解するよ?」 「すれば?」 「はぁあああ?だからおまえ、意味わかって…―」 「わかってなかったらあんなことしないわよ。っていうか、わかったからしたのよ!バッカじゃないのっ」 いつまでたってもこの意味の通じないあほったれに悪態をついてやる。 ほんとにっ まったくっ ちっともわかってやしない
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