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彼女はあがり症なのか、自分と居る時に躓いたり迷子になったりと目を離せばあり得ないようなことをやらかしてくれる。
その様子がなんとも放っておけなくて……
今思えば、自分がこの手で助けてあげたいという気持ちが強くあったんだと思う。
父性?いや、母性?
守りたいと想う心がすでに自分の中に深く刻み込まれていた。
それなのにどうしてあの頃、
その手を離せると思ったんだろうか―――
少し幼く見える彼女は手も小さい。
それはまるで子供のような……
彼女の少し高い体温。
緊張しているのか少し汗ばんだ手のひら。
小さいけれど自分の手にしっとりと吸いつくような……
今までに感じた事のない、手触り。
繋いだその手のひらから湧き上がってくるこの感情。
可愛らしい子供のような彼女の手から伝わってくるにはあまりにも不似合いなこの気持ち。
この気持ちを言葉で表すならば
―――独占欲。
自分だけのモノのしたい。
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