味覚のキオク

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そんな感情を抱いている自分に戸惑い、思い違いだと自分に言い聞かせた。 恋愛に関して来る者は拒まず去る者は追わず。 そんなスタンスで暮らしてきた。 まさかここで誰かに手を出すなんて事、するつもりもされるつもりもなかった。 それなのに――― きっかけは何だったのか。 ほんの出来心とでも言うべきなのか。 彼女は仕事ができるのに、向上心がない。 そんな彼女に苛立ち、つい辛く当たってしまっていたのかもしれない。 ところがある日を境に急に彼女が仕事の面で成長を見せ始めた。 それが4月の事。 目に見える成長に嬉しくもあり、次々に課題を出していく。 それに食らいついて成長し続ける彼女。 見た目の子供っぽさを払拭するその働きに驚き、そして喜びを感じていた。 こんなにも成長著しい部下は初めてで、上司としてつい顔をほころばせてしまう。 それが今ではこんなにも愛しく思える彼女になるとは―――
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