嗅覚のキオク

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「最後、なんですか?」 もう一度、彼が聞く。 口付けを何度も落としながら… 彼に会いたいのか この香りに包まれたいのかわからない。 ただ彼の温もりは嫌じゃない。 だけど、 最後だと言ったらここまで、なんだろうか? 彼の素肌から感じる香りを知らないまま ここで終わりなんだろうか? 「…それは、あなた次第?」 挑戦的に彼を見つめて言い放つ。 まるで貴方の力量次第よと言わんばかりに。 そう言った私のその瞳をまっすぐ正面から捉え、彼は八重歯は見せずにニヤリと笑ってから 「俺、チャンスは逃さない主義なんだよね」 「ええ、そうだと思いました」 だからたっぷりと貴方の匂いを感じさせて……
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