1.朝

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「ん…」 瞼の先が明るくなってきた。 あぁ、朝が来たのだと理解するのに時間はかからなかった。 いつも朝の訪れは目覚ましだった。 最近買い換えたばかりのスマホ。 まだまだスマホの使い方に慣れきれないアラサーに片足突っ込んだ私には、目覚ましの音の変え方が分からずいつもけたたましい音で起こされている。 朝の日差しで目覚めるなんて素敵なことだ。 とはいっても激しく低血圧な私はなかなか起き上がるどころか目を開けることもできない。 それでも結婚3年目を迎えて、子供がほしくなった私は毎朝基礎体温だけは欠かさずつけている。 すぐ測れるように枕元に置いているはずのいわゆる婦人体温計を手探りで探す。
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