第1章 浮黒ー1.入部

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「ねぇ卓人、聞くまでもないけど何か部活入った?」 俺は卵焼きを口に入れてかぶりを振って良介に否定の意を示した。 すると、肩を竦めて続けた 「そんな柄じゃないからね。 卓人がもし入部なんてしたらこの世が破滅するのじゃなかろうか。 まあそんなこと万にひとつもないだろうけど」 失敬な! その言葉に少しムッとした。 間違ってはないが別にそこまで言わなくても。 無論無駄な行動は避けたい。 となると…いや止めよう。 少し考えたが反論しても仕様がない。 俺は黙ったまま良介の話に耳を傾ける。 「ん!?まあまあそう怒らずに。 別に真っ向から卓人の存在を否定してるわけじゃない。 ただ卓人は外面を備えた無気力かつ無機質の塊なんだ」 そう言って良介は笑う。 本当にこいつは無礼なやつだ。 今に始まったことじゃないが。
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