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ここは《ピアリス》という少々荒れた街。道端に座り込み酒を飲む男達、旅人を怪しい店に勧誘する女、広場で喧嘩をしてる者、色々な輩がこの街にいる。
この街は旅立ちの街とも言われ、毎年海賊に憧れた若者達が数多くこの街から旅立っている。
そして今年もまた、後に大海賊になる青年がこの街から旅立とうとしていた。
「くそッ! オヤジ、酒!」
「随分荒れてるね、花丸ちゃん」
店のオヤジがカウンターに座る男、花丸にラム酒を差し出す。
「また失敗した。…ナンパに」
「女の尻ばかり追っかけてないで、ちゃんと働け」
「余計なお世話だ」
花丸はラム酒を一気に口へと流し込む。
「そういえば、いよいよ明日だな。花丸ちゃんが海賊になって旅立つのは」
「あぁ。この店で酒を飲むのも、今日で最後だな。おかわり」
オヤジは花丸が差し出したグラスにラム酒を注ぐ。
「あの伝説の大秘宝を手に入れるんだろ? なんだっけ? カ、カル、カロ…」
「カラザの大秘宝か?」
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