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「はぁ……」
思わず声が漏れた私を、乗り込んできたセシルさんが
不思議そうな顔で見つめた。
「うん? どした?」
「あ! いえ。
すごく乗り心地が良いなーって……」
「ありがと……お気に入りのシートだから、
褒められると嬉しいよ」
「素敵ですっ」
「じゃ、行こうか。
結子、シートベルト締めて」
「は、はいっ」
カチッとシートベルトをセットしたと同時に、
セシルさんがエンジンを入れる。
内心すごい音なんじゃないかとビクビクしていたけど、
むしろ普段乗るタクシーなんかより、よっぽど静か……。
って、タクシーと比べる私って……。
車に乗ってから、シルバーのフレームが上品なメガネをかけた
セシルさんの横顔に、うっとりしてつい見惚れてしまう。
カフェでの話の続きをしながら、私は徐々に
セシルさんとの距離が近くなっていくような気がして
嬉しくなった。
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